『betrayers』 黒巣市A.D.2026−Act III+
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 Master Scene-02 「前哨」
 ScenePlayer:−−/時間:−−/場所:市内各所/登場:不可


 「…六会の不在は心細いか? 案ずるな、支部の事は任せろ」
 「私の手に負えない件は、既に彼がやってくれていたよ。残るは『現場判断』のみ」
 「そうだな…。此方は護衛に就きながら戦勝報告を待つとしよう」
 「竜を倒して戻ってみたら、支部がもぬけの殻だなんて勘弁だよ。…では、“また”」
 「ああ。“またな”」


 「怪我してる人、無理はしないで」
 「先の交戦で張り切りすぎちゃったんだから、今回は見せ場を譲ってあげなさいよ」

 「……来るわ。今やらなきゃならない事は…あの竜をここで止める事」
 「好き勝手するのは終わりにしてもらいましょうか」

 「引退したつもりだったんだがな〜・・・人遣いが荒いぜ。まったく」
 「街が無くなってしまえば、商売だってできませんよ」
 「んだな〜。まあ、支援くらいは杵柄で何とかしてやるよ」
 吹き荒れる気流。その真中に在る竜。
 接近を阻み荒れ狂う真空の刃を片っ端から撃ち抜き、相殺する。
 「若いモンのために道を拓いてやる。行ってこいや」

 「獣の次は、竜。いいわ。相手としては申し分ない」
 「わたしたちの居場所を荒らしてくれたお礼、今からしてあげる」
 年端のゆかぬ少女も、小さな手で銃を構える。
 「ふ・・・・」
 一羽の鶏が、少女の頭上から目で語った。

 「このチーム、他より人数が少なくないか?」
 「いいや、ミスなんかじゃない。配分は『丁度良い』。気をつけてくれ。今からちょっとだけ、本気を出す」
 霧より出でし九頭竜。その一本の首の眼前に、“古の竜”が顕現した。
 「攻撃に専念する。カバーしきれない分は…『任せる』」
 「『任された』。“不動の守護者”として、必ず止めてみせる」
 「OK。片付いたら“全員で”祝杯な」

 「…質問宜しいでしょうか?」
 「なに?」
 「配置されているグループは、別働隊を除いて8つ。…首1箇所分足りないのでは?」
 「いいんだよ、それで。わざとブランクにしてあるんだ」
 「人事を尽くして天命を待つ。私達は、やれるだけの事をやる」
 「だから、たまには期待の一つでもしてみようじゃないか。“奇跡”ってのを」


 『各地目標捕捉、人員配置完了。これより掃討作戦を開始する』
 『九頭竜は生半可な相手ではない。だからこそ――』
 先の言葉を遮って誰かが回線を奪い、“同士”に向けて叫ぶ。

 『Let's party!!!』




 「――勢い余って、街を壊さないでくれれば、いいんですけどね………」
 一方、支部の医務室では。
 包帯を朱に滲ませながら横たわる支部長代理が、
 スピーカーから漏れてきた声に、苦笑混じりで呟いた。



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