『betrayers』 黒巣市A.D.2026−Act III+
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 Master Scene-01 「同根の異質」
 ScenePlayer:−−/時間:−−/場所:−−/登場:不可

  『“運命の剣”は手に入れた。次は何をする?』
  「不完全に残されたままの、志貴野の記憶を手に入れるよ」
  『だったら劉斗を此処へ連れてきて、直接引き出すのが確実じゃないか?』
  「…用心のため、だね」
  『用心……ね。――“朽月”が切り落とした腕は、いまだに再生できていない』
  『鳥越劉斗は継承を、不完全ながらも打ち破った――』
  『“先々代”は、度重なったイレギュラーに怯えてでもいるのかい?』
  「怯え…『恐怖』か。それは有り得ない」
  挑発を軽く流し、手にしたカルテに再び視線を落とした。
  
  だが、片割れはそれでも食い下がる。
  『だったら、依代にした今の体が悪いのかもしれないね』
  
  「――……お前は…」
  何かを押し殺し、低く、くぐもる声。
  「お前は…全てを僕に押しつけて、一人だけ自由に生きてきた」
  「元々は“同じ”、なのに、どうしてお前は僕だけが悪いと言い切れる?」
  『…………』
  
  静かに言葉を叩き付けられた片割れは、二の句を失った。
  
  「――この体は、お前の唯一の『鎖』。だからこそ“私”は、お前を呼び戻した」
  先程までの激情を綺麗さっぱり消し去って、何事も無かったように“火鷹”は告げた。
  
  「さあ、黒巣へ戻って見届けてきてくれ。僕の代わりに、解放を」



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 DOUBLE+CROSS THE 2nd EDITION
「『betrayers』黒巣市A.D.2026−Act III+」