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『Gloria in excelsis deo』 黒巣市A.D.2026−Act III |
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Ending Phase-01 「遺産」 |
ScenePlayer:“金色の獣” 佐伯 詩架&“音よりもなお速き” 矢作 運/場所:クロスタワー地下/時刻:p.m.11:55/登場:−− |
半ば崩壊した下層階を更に下り、隕石の落下で開いたような巨大な穴を飛び降りて
辿り着いた先、クロスタワーの地下フロア。
そこは雲海のように白く霞み、崩落した瓦礫に足を取られそうになりながらも、
中心部に向かって緩やかに傾斜して下り
蕩々と脈を打つ赤光の筋を辿り、やがてフロアの中心部へと辿り着いた。
運: たったったっ、と規則的な足音が半壊したドームにこだましている。
運: 「はぁ、はぁ、はぁ」粗くなった息を整えながら、そこにいるべき人を探す小さな人影が一つ。
詩架: その後ろを警戒しつつ、少し間を置いて足元に注意しながらすすも人影が一つ。
運: この霧の中、どこかに居るはずなのだ。
塔を揺るがす振動の中心――
“一つの輝き”に、透明なプレートが幾重にも重なる。
『――じゃあ行ってくる。運、いい子で待ってるんだぞ、皆をあんま困らせるなよ』
運に掛けられる声――幻聴のような、過去の声。
確か、笑顔だった。あの時の“兄”の姿は。
今は――
運: 「兄さん─────修兄さぁぁぁぁぁんっっ」
“一つの輝き”
そして、それを覆うプレートの数枚を砕き、突き立つ楔――黄金の剣が。
リン…ゴォーンと、
日の変わりを告げる鐘の音が鳴り響く。
大気を震わせるその響きに、天井から粉塵が落ちてきた。
静寂に続いて、次の鐘が鳴る。
――と同時に、プレートの一つが軋みを立てて“封印解除”された。
ライフゲージの機能が再び戻り、電子音と共にメッセージが表示される。
『鍵たる黄金の剣を以て、滅びをもたらす核を砕け』
核――かつて矢作修に宿りしモノ。賢者の石と呼ばれるモノ。
“何故か”二人には理解できた。
運: 「──わたしが探していたのは──こんなモノじゃない。」
詩架: 「……」なぜか彼が既に”いない”ことを理解した気がする。だが何も言わない。
GM: 声がする。
??: 『……来たのか、運』
GM: 優しい響きを持つ、誰かの声。
運: はた、とその声に顔を上げる。
運: 「兄さん? 修兄さん、なの?」その姿をとらえようと、周囲を見回すも、見えず。
運: 「ねぇ、どこ? 修兄さん。 どこにいるの!」
GM: 雲海にいくら目を凝らしても、人影すら見えず。
修?: 『今の俺は、石に宿るただの意識体なんだ。運の目の前の――』
修?: 『赤い石。賢者の石』
運: その声に、呆然とその“石”を見やる。
運: 「──違う。」ぽつり、と
運: 「違うよ、修兄さん、そんなの、違うよ。」
修?: 『体はもう無い。ま、色々あってな』
運: 愕然としたまま、ただ歩を進め
GM: 詩架が持つ漆黒の石が、ずしりと重くなる。
運: 「やだよ、そんなの。きっと一緒に帰るって──みんなにも約束してきたんだよ? そんなのって、ないよ………」
運: 楔たる刀の前で、くずおれる。
修?: 『……運。お前が無事だったのが、せめてもの救いだ』
修?: 『ナイトハウンドを、皆の居場所を守るって出てきたのにな。俺は』
運: 「そうだよ……還ろうよ……ひっく……ねぇ、修兄さん。………お願いだよ………」
修?: 『……まどろっこしいな。もうちょっと前だったら、せめて幻影の姿くらいは取れたのに』困ったような口調で。
修?: 『けっこー頑張っているんだが、“俺”がそろそろ消えてしまう』
GM: 更に鐘が鳴り響く。
運: その言葉にはっと顔をあげ声を上げる。「! ダメ、ダメだよっ。そんなの……戻ってきてよっ!」
一つ、封印が解除される。
GM: 何者かが、詩架に“意識”を伝えてくる。
GM: かつて葛木が持ち、今は詩架が持つ黒い石は、“賢者の石に成れなかった”欠片。
GM: 「衝動」を課して強制的に力を振るわせる漆黒の魔石。
GM: 具体的なデータは、衝動判定の目標値を+10、Cr値−1。他は賢者の石に準ず。
詩架: 「……どうしてほしい?」静かに語りかける。
“――”: 『……………』
GM: 通常、賢者の石は適合者以外が触れれば命を落としかねない代物だが、
GM: この石を身に宿す者は、「適合者」でなくても賢者の石の力を引き出す事が可能となる。
GM: いわゆる触媒物質とも云える。
GM: 別の気配に気づいたのか。修の意識が詩架に注がれた。
修?: 『これは……そか』
修?: 『俺よりもっと不器用なヤツだったっけな…“アイツ”は』
修?: 『アイツを恨んでるワケじゃない』
修?: 『俺は最後の一撃で力を全て使い果たしていたし、最終ステージに辿り着けたのはアイツと一緒に戦ったからだ』
詩架: 「貴方たちに何があったのか、今更問いただす気もないけど」
鐘が鳴り、音を立ててシールドが解除される。
運: どうすれば兄をここから解放できるのだろう、と、床のパネルを調べ始める。
GM: 選択肢は3つ。
GM: 黄金の剣で核(修)を破壊する。転化装置でもある動力源が失われる事で“破壊”は止まる。
GM: 2つ目。
GM: 漆黒の石を身に宿した後に、賢者の石を身に宿す事で、動力源をそっくりそのまま移し替える。
GM: 動力源が失われる事で、同じく“破壊”は止まる。
GM: ただし、完全に成功するかどうかは未知数。
GM: 3つ目。
GM: 何も選ばず、12の鐘を打つのを待つ。装置の解放に伴い修は解放される――が、“滅び”が黒巣を襲う。
GM: 思いつくのは以上の三つ。恐らくは石の思考を受けているのだろう。
運: ちなみに、修の石ってサイズどんくらい?
GM: 元々は直径3cm程度の石。
GM: 今は“成長”して、子供の握り拳大くらいになっている。色々と付加されたのだろうと思う。
詩架: 「……どうしてほしい?」
運: その声に、詩架へと視線を上げる。
修?: 『まだその石の力は残ってるんだな。…いや、残したのか?』
詩架: 「このまま装置の開放をして、黒巣を崩壊させた罪を負って生活するか」
詩架: 「それとも、自らを犠牲とするか。―――ちなみに」
詩架: 「これを身に宿すなんて、真っ平ごめんだわ」
“――”: 『……………』
GM: 反応を返さない漆黒の石に対して、修の石がからかうように言う。
修?: 『きっと“使わせて”くれる。そのために使わなかった――そうだろ、セイヤ?』
“――”: 『……………好きに、使えばいい』
GM: とても穏やかな青年の声。
詩架: 「まあ……このまま黒巣が崩壊するのは、色々後味悪いとおもうけど」使うの?と手にした石を見せる
詩架: 「……わたし。もうストリートに戻る気無いから、貴方の意図とは大きく外れると思うんだけど…」
詩架: 「…いやなら、わたしが引き受けてもいいわけど?」運のほうを見る
――また一つ。遠くからの鐘の音。
リン…ゴォーン。更に一つ。封印もまた一つ解除される。
修?: 『俺は皆の居場所を守るためにバトルロイヤルに挑んだ…のに』無念を滲ませ
修?: 『…お前達に託す事になりそうだ。頼んでいいか? 皆の居場所を、守ってくれ――』
GM: 修の意識との距離が、急激に遠のく感覚。
運: 「待って……待ってよ……」
運: 床に埋め込まれた石へとその視線を移し、語りかける。いや、たんに呟いている、といったほうが近いか。
運: 「嫌だよ……修兄……ひとりでなんて……」
GM: 赤く光る石。台座たる装置を介し四方周囲へと伸びる光筋の明滅は、未だ止まることなく。
また鐘が一つ、打たれる。
ライフゲージに表示された時計は11:59を記す。あと、いくつあるのか。
詩架: 「時間が無い。こういうのはフェアじゃない」
詩架: 「肉体を失って尚、生きる意思があり、黒巣を崩壊から避けたいなら……」黒石を差し出して
シールド解除。残るは2層――
詩架: 「ここに来なさい。使いこなしてみせるわ。たとえ多少苦しんだとしても、そんなの今更だもの」しれっと
詩架: つーわけで黒石に意識いらっしゃい選択肢2を。
詩架: メタ発言ではございますが賢者の石、ダブルマウント許可を得次第装着いたしましょう。
GM: では…。
GM: 封印を縫い止めていた黄金の剣を抜き取り、漆黒の石を封印の奥、赤く輝く賢者の石にかざす。
GM: 眩い赤光。霧が光に染まり、一面の赤が満たす。
GM: 認識不可能な速度で、大量の意志、意識が流れ込んでくる感覚を、
GM: どこか遠いところの出来事のように、詩架には感じられた。
GM: 暗転。唐突に訪れた意識のブラックアウト。
GM: 佇む運の前で、体の力を失って詩架が崩れ落ちた。
鐘が鳴り響く。
動力源を失った装置が空稼働を始める。
小さな微震、降り注ぐ礫。
霧の向こうから、誰かを呼ぶ声が聞こえる。
「――誰か、居るなら返事をしろ」
ある意味、懐かしくもある声。天敵とも言うべき者の。
塔を揺るがす鳴動は、より低く響く。
救いの声が二人を見つけ、静かに崩壊を始めた塔より共に脱出をする。
砂のように、ゆるやかに霧の中へと消えてゆく塔。
運命の交差する塔は鐘の音と共に
翌朝には、その存在の全てを失くしていた。
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