『Gloria in excelsis deo』 黒巣市A.D.2026−Act III
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 Ending Phase-02 「邂逅」
 ScenePlayer:“逆位置の太陽”津嶋 皓&“鉄衣の剣舞” イブ/場所:皓の自室/時刻:後日/登場:不可

GM: バトルロイヤルが終わって、数日後。
GM: 皓の受けた傷は未だ完全には癒えず、天井の白が、そろそろ飽きてくる。
GM: 窓の外も、相変わらずの――白。

イブ: 「…ただいーまー。」降り出した小雨の音を背に。あまり音を立てないように玄関を開ける。 ※1
皓: 「────」微かに息をついて、ベッドより立ち上がる。少々腕の動きがまだぎこちない。
イブ: 抱えてきた荷物をテーブルに置いて、皓へ視線を。
皓: 「……お帰り」姿に、声。どこかぎこちなく。
イブ: 「もー起きていいのか?」む。病人は無理するなと言いたげな顔で。
皓: 「あまり寝すぎていてもね。じっとしているのはどうにも性に合わないんだ」
皓: ふい。と目を逸らし、台所からカップを取り上げて。
イブ: 「そか。…んーと、包帯とかの換えと、あと食いもんとか買ってきた。多分食える。」
イブ: 適当に相づちを打って、荷物をごそごそ。
皓: 「ありがとう。……多分って何だ」
皓: はぁ。と軽いため息で。
イブ: 「や、ほら俺のほーむぐらうんどでゲットしてきたから、色々。」(何
皓: まぁ良いが。と口中で呟いて、珈琲メーカのスイッチを。
イブ: 「…なんか元気ねーな。まだ痛むんならうろうろすんなよ?」
イブ: コーヒーメーカーとか使えないけど、というのは黙っておく
皓: 「────」こぽこぽと音を立てるそれを眺めたまま。じっと。
皓: 「──イブ」
イブ: 「んー?」荷物を整理しつつ、気のない返事。
皓: 「──俺が、おまえくらいの頃にさ。……俺には、大事な友人がいた」
皓: 「いつの間にか……そいつとは会わなくなって。ずっと、会いたくても……出来なかった奴が」
イブ: 「………。…ふーん。」
皓: じっと、身動ぎせず、イブからも目を逸らしたままで。
イブ: 手にした缶詰のラベル。半分消えてしまって分からないそれをぼんやり見たまま。
イブ: 「…なんで会えなかったん?」
皓: 「俺はそいつと親友のつもりで……それでも、そいつに対して、決して拭うことの出来ない罪科があって」
皓: 「──時が経って、俺からそいつに会いに行く事は凄まじい重荷になっていった。」
皓: 「……あいつが、きっと俺に会うことを拒んでいるから」
皓: 「だから、あいつから声がかかることが無いのだろう。って、勝手に納得してたんだ。きっと、俺はね」
イブ: 「…そりゃ、寂しい話だね。」
皓: 「──でも、あいつはあいつできっと元気でいる。そう信じてた」
皓: かたん。とカップに2杯分の珈琲。一方をイブに差し出して。
皓: 「……でもさ。恐がらずに……会いに行けばよかったのかな──そんな後悔を今更している。馬鹿な話だよな」
イブ: 顔を上げる。
イブ: 「……ああ、馬鹿な話だ。」苦笑しながら、カップを受け取って。
イブ: 「会いたいと思っても、出来なかったかもしれないじゃん。相手もさ。」
皓: 「会いに行って、御免って。許してくれなくても、友人のままでいたい。……って。そう、言えたら──」
皓: じ。と目の前の青年の顔を見つめたまま。
皓: 「友人のままで、いてくれたのかな?」名前は言わない。問いかけの言葉。
イブ: 「……。」視線を受けて。一度、手にしたカップに視線を落として。
イブ: 「――お前って、そんなにデリケートだったっけな。俺知らなかったわ。」
イブ: はぐらかすように天井に視線を泳がせて。
イブ: 「“あの時”から…」観念したようにため息を吐く。
イブ: 「お互い嘘は突き通すって、そういうつもりで居たんだけどな。」
皓: はぐらかしにも、苦笑も見せない。じ。と、姿を見つめたままで。
イブ: 「許すとか、許さないとかじゃなくて。むしろ、嘘とか本当とかじゃなくて。」
イブ: 「起きたこと全部。過ごした時間も全部。…受け止める気で居たんだぜ?俺は。」
イブ: コーヒーの水面が揺れる。深い色の底に目を懲らす。
皓: 「──嘘は、突き通せば真実に勝る。か」苦い笑みでその目を逸らし。
皓: 「拘りすぎてるのかな、俺は。何事にも、さ」
皓: かたん。と飲まないままのカップをテーブルに置いて。
イブ: 「こだわり過ぎだな。…でもそれがお前だろ。」似たような笑みを浮かべ。
皓: 「ああ」
イブ: 「今更、恨み言も言う気はないけど。」
イブ: 「…俺は会いたかったよ。……痛みと、苦しみと。そんな物に頭が支配されていても。」
イブ: 「お前に会いたいと思っていた。」
皓: 「──……」
イブ: 視線は下に落とされたまま。
イブ: ただ、天井を写すだけの水面に注がれる。
皓: 「…………。遅くなって……御免。ずっと、恐がって、会いに行けなくて」
皓: 「そんな風に……こんなにも経って。それでも」
皓: 「おまえが“此処”にまた来てくれた。今なら、素直に言えるよ。“ありがとう”って。──イブ」
皓: かつての名前は呼ばない。──今目の前に在る青年は、“イブ”と呼ばれる個なのだから。
イブ: 「ま…俺も忘れてたから同罪だ。」は、と吐息。
皓: 「──俺は何も“捨てる”ことが出来なかったから。何もかも抱えたままで、それ故の“強さ”を求めた」
皓: それは、かつて、教えを請うた“彼”の言葉とは正反対の力。けれど。
皓: 「だからこそ……俺は忘れられなかったんだ。……それだけだよ」
皓: 「──詰まらない話をしたな。済まない。イブ」軽い苦笑。恐らく、何時もの、今の、それで。
イブ: 「なら…」笑みと共に。
イブ: 「それには礼を言うべきだな。―“俺”の事をおぼえていてくれて。“ありがとう”」
皓: 「…………」くしゃり。と、少々高い位置の髪をかき回して。
イブ: 「…そろそろなりを潜めることにするよ。“その名前の俺”によろしくな。」
イブ: 頭に乗る手に、くく、と楽しげに笑って。
皓: 「……またな。“蒼太”」軽く笑い。
イブ: 「……ああ。…またそのうち。」昔の面影で、悪戯っぽい笑みを返した。
GM: “ピィンポォ〜〜〜ン”
GM: 少しひずんだドアベルの人工音が鳴る。
皓: 「……来客?」一瞬あっけに取られ、玄関に。
イブ: 「……皓の家のチャイム、壊れてんじゃね?」ぼそり。(何
皓: 「おまえが壊したんだろう」さらり。と、今の声と態度、言葉。
宅配人: 『ちわーす、お届け物です。津嶋さーん』扉を叩く音。
イブ: えーと俺コーヒーのブラックって飲めたっけ、とか手元のカップをきょとんと見直す。
皓: はいはい。と口中で呟き、ぎこちない仕草でドアをあける。
イブ: なになに?と好奇心丸出しで部屋の奥から見守る。
GM: 宅配人が運んできたのは、段ボール3箱の“お届け物” ※2
GM: 差出人には「火鷹 劉生」とある。
皓: 「…………」しばし呆然として。
皓: 「……イブ」
イブ: 「んー?」
皓: 「おまえ、また余計なことを……!」半眼で睨みつける!
イブ: 「え、ちょ、なんで俺なん!?」
GM: 「津嶋様方 イブ様」との宛名。
皓: 「おまえ宛じゃないか、この大荷物。一体何なんだこれは!」微かに怒声の混じった声で。
イブ: どやどや出てきて、宛名見て固まる。(何
イブ: 「火鷹のおいさんから…?えー……………………あ。」
イブ: 唸った後、なんか思い当たって固まる。
イブ: そしておもむろに1箱をがさがさ開ける!
GM: 綺麗に並んだ大量のたい焼き。
イブ: わはー、とか言いつつ丁寧に梱包された一つを取り出す。
イブ: 「おいさん、たい焼き弁償してくれるって言ってたの忘れてなかったんだ!」
イブ: きゃっきゃっ、と無邪気に喜ぶ180cm(何
皓: 呆れ返った表情でその荷物を眺める。「……どうするんだ、この量は」はぁ。とため息。
皓: ──仕方がない。と一箱を引きずるようにキッチンへと運びつつ。
イブ: 「皓、たい焼き食ったことあるか?んまいぞー。」一つは頬張って。もう一つをほれほれ、と差し出す。
皓: 「当たり前にあるよ。──つぶ餡はあるか?」苦笑、頷いて。
イブ: すげー尻尾まであんこ入ってる!とか言いながら、残り二箱を抱えて後に続き。
皓: 受け取り、咥えつつテーブルの珈琲を手に。
イブ: 「…つぶ餡好きなんだ、皓。」きょとり。
皓: 「まぁね。基本好き嫌いは無い」さら。と頷く。
イブ: そっかそっかー。と笑って。いつもの顔。
皓: 暫く甘いものに困らないな。と苦笑気分ではしゃぐ青年を横目で眺めて。
イブ: 「じゃあこれ無くなったら俺のお気に入り食わせてやるからさ、たのしみにしとけよ!」
イブ: あっけらかんと笑う。昔のようで、今の顔。
皓: 「期待しているよ」言って、笑った。“今”の顔で。

 外は相変わらずの霧と雨。
 この街も、お互いも、それぞれの道も。何も変わらない。けれど、
 見えない所で。少しずつでも、変わることもあるのだろう。良くも悪くも。

 霧が晴れたら。雨が止んだら。
 またもう一度。
 この街と、お互いと、それぞれの道に生きよう。



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 DOUBLE+CROSS THE 2nd EDITION
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