『Gloria in excelsis deo』 黒巣市A.D.2026−Act III
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 Ending Phase-04 「朽月」
 ScenePlayer:“牙狼の王” 久継 駆穂/場所:−−/時刻:−−/登場:不可

駆穂: 黒巣の片隅で。事件を経てそれぞれが談笑し。何かを失い。何かを得ているその時。
駆穂: 半ば水没し廃棄された領域にて。別段鎖の街では変わった事の無い諍いが起こっていた。
駆穂: 影は動き。丁板が外れた扉ごと斬り裂いて。中の”獣”を袈裟懸けに切断。
駆穂: 続いて振り向いた”獣”を左右に分断。爪を振り上げた”獣”を逆袈裟に斬り払い。
駆穂: 様子を見ていた”獣”に刃を投げて壁に縫い止めた。 ※5

駆穂: ──殺害4。オールクリア。
駆穂: 影──死神は無慈悲なる目を持って”獣”達が食らっていたものを見る。
駆穂: ──人間の手。骨。
駆穂: 溜息をついて。肩をすくめる。
駆穂: 元々。進化とは淘汰の歴史でもある。弱きものは術なくしては獣に堕ちる。
駆穂: 『元々』が人であっても。何かしらの歪みを内に抱え込んでしまえば。遠からず近からず。欲望を顕す獣となる。
駆穂: そして歪みは伝染する。──そう。
駆穂: 世界の根幹を揺るがす程に。人のちっぽけな望みも。小さな願いさえも。
駆穂: 繰り返し。進化とは淘汰の歴史である。
駆穂: それゆえに人にとってこの上なく大切で。他人から見ればどうしようもないものでさえも。
駆穂: 零れ落ちてしまったものは──
駆穂: すべからず。──『消える』。
駆穂: それが──世界の終り。そうして──容易く世界が終わる。

駆穂: 「────フゥ」
駆穂: 死神は溜息をついた。当然にして『役目』は断ち切る事であれど。
駆穂: 未だ、『元』が見えない。いや。『元』があるのか。探す事すら無意味ではないか。
駆穂: 問いも無く。問われる解も無く。
駆穂: 死神は地に落ちていた手を拾い。天に還した。

駆穂: ────夜明けの時間。
駆穂: 誰に認められるでもなく。誰に対するでもない。
駆穂: ただ永遠とも思える鎖との戦いを。死神はまた始めた。
駆穂: 夜に浮かぶ月の如く。夜明けが来れば消える運命なれど。

 かくして。朽月は逢魔の刻に掻き消える。



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 DOUBLE+CROSS THE 2nd EDITION
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