『Gloria in excelsis deo』 黒巣市A.D.2026−Act III
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 Master Scene-01 「開幕」
 ScenePlayer:−−/場所:とある高層ビルのサロン内/時刻:当日p.m.09:53/登場:不可 

 『レディースアンドジェントルマン!』
 『待ちに待っていた方も、そうでない方も』
 『4年振りのご無沙汰、今年もやって参りました――』
 『“超人”達が繰り広げる、ハイスピードミラクルアクションバトル、夢の祭典が開幕します!』

 何処かの高層ビルの一画。
 豪華な調度品であつらえた広大なフロアでは、数人の紳士淑女が和やかな歓談を交わしている。
 照明がゆっくりと落ち、巨大なプロジェクターがクロスタワーの様子を映し出す。
 外界から隔たれたクロスタワーに於いて、唯一外部とのコンタクトがとれる専用回線を経由し、
 時遅しとスタートの合図を待つ参加者達の姿が次々と映し出されていた。

 「――如何でしょうか。今大会の勝者は何方になるのでしょうね?」
 「今回ならば、在日米軍や、各務さんのチームも有力候補のようで」
 「いやいや。葛木君…という可能性もありますぞ」
 「一般から出るという大番狂わせ…という線も期待しておりますが」
 司会者のトークに品が無いだとか、今大会の優勝者は誰かとか、誰に何を賭けるかとか、
 どこそこの株価は上がるだとか、閣僚とのゴルフコンペはいつにするだとか、 ※13
 紳士淑女達は、そんな綯い交ぜの会話に花開かせていた。

 富める者、大抵の望みを叶えてしまった者達は、“他人事”で退屈を癒やす。
 此処に居る者達にとっては、誰かの生死も、不幸も、刹那で消化する娯楽の欠片。


 「――参ったな」
 そんな輪から少し離れて、窓の外を気怠げに見下ろしている“火鷹”は
 霧の雲海の向こう、蒼光に照らされて輝く鉄塔を眺め、
 深く溜息をついた。



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 DOUBLE+CROSS THE 2nd EDITION
「『Gloria in excelsis deo』黒巣市A.D.2026−Act III」