『Gloria in excelsis deo』 黒巣市A.D.2026−Act III
横幅650pix、Internet Explorer環境ではフォントサイズ「小」を推奨します 


 Middle Phase-11 「助力と協力」
 ScenePlayer:“鉄衣の剣舞” イブ/場所:ABブロック22F/時刻:p.m.11:13〜/登場:“逆位置の太陽”津嶋 皓

 登場Dice イブ: 1d10=(10)=10+50=60
イブ: うげ
 登場Dice 皓: 1d10=(9)=9+48=57
皓: ぐぅ。

 途中で遭遇したチームを前と同じように退けて、更に階を重ねる。
 低いモーター音が唸り、天井にパイプの張り巡らされたエリアに辿り着いた。
 照明は無く見渡す先は暗い。
 ライフゲージに表示有り……チーム名「--」。

イブ: 「…なにこれ。」表示に眉を寄せて。
皓: 「──誰かがいる」ぽつり、呟き、無機と有機の脅威に意識を集中せんと。
GM: 暗闇の中から何かが光ったと思うと同時に、
GM: 二人のエンゲージ目掛けて立て続けに銃弾が叩き込まれた。
GM: 背後の表壁が砕け飛ぶ。
皓: そのまま、イブを引きずり込むように物陰へ──行けますか?
GM: かろうじて可能。
イブ: 「――っ!…待ち伏せかよ!」引き込まれながら悪態をつく。
GM: 近くの排気管は裂け、噴き出した激しい水蒸気に周囲が覆われた。
皓: では反動で、背を強く壁に打ちつつも。
皓: 「視界が悪くなったな……厄介な!」
皓: 悪態をつき、気配で敵を探ろうと。
GM: 水蒸気の噴出は未だ止まりそうにない。
??: 「こちらに!」 ※7
GM: 更にイブの手を引く“何か”。
イブ: 「――?」皓の居るはずの方向と、引かれる手の方向を交互に見て。
皓: 「──イブ?」
GM: ぐいっと、何処かに引き込まれる。
イブ: 「…皓、じゃ…」ないのか、と言おうとして、そのまま引っ張られてしまう。
イブ: 蒸気の音がうるさい。どっちに引かれたのか、どこにいるのか上手く把握できなくなる。

GM: 引っ張られ、転がり込んだのは小さな小部屋。
イブ: 「…ってぇ……。…おい、皓?」視界がふさがったまま、相棒の名を呼んでみる。
??: 「………あいたた…」
イブ: 「誰だ…?」間の抜けた反応に、側にいるのは違う人間だろうと判断して。少しの警戒。
??: 「やあ、久し振りだね」
イブ: 「……?…あ、もしかして。」
イブ: どことなく聞き覚えのある口調にきょとんとしながら、相手の顔を確認する。
GM: 腰をさすりながらキミと顔を合わせたのは
“火鷹” 「此処まで到着おめでとう…と、取りあえず言っておこうかな」 ※8
イブ: 「あー、ありがと……じゃなくて。なんでこんなとこいんの?アンタ、偉い人なんじゃないの?」
イブ: 確か、スタートの時コメントとかしてた!と思い出す(何
GM: しー、と指一本を唇に当てて。
イブ: 「…ぬ、むん。」しー、とされると反射的に黙る。
皓: 「──イブ、何処にいる?」小さくも呼びかける声を、イブの背後より。
イブ: 後ろから聞こえる声に振り向き。
皓: 「そこか、イブ──」水蒸気の中より姿を。……瞬後、その人物の姿に硬直を見せ。
“火鷹”: 「津嶋さんも。無事だったようで何よりです」
皓: 「……なぜ、貴方が此処に?」
イブ: 「皓、こっちこっち。」一応抑えた声で、しかし呑気に手招きする。
“火鷹”: 「何でこんな処と言われると、“出るに出られない状況だった”というのが正解なんだけど…」
イブ: 「なんかすげー撃たれたんだけど、おいさんも?」危なくて出られないってことか。
“火鷹”: 「撃たれてしまいそうだね、私も」困ったように眉根を寄せて
皓: 「貴方も参加者だったといったら笑いますよ。勿論嘲笑ですが」はぁ。とため息をつき、背後に警戒しつつも。
皓: 「先ほどの敵は、チーム名が明示されていませんでした。……イレギュラーですか、奴らも、貴方も?」
皓: 剣呑な目で火鷹を眺め。
“火鷹”: 「君達のような形ではないけれど、この大会に主催者側として私が参加したのには」
“火鷹”: 「先代の事業を経験する事以外に二つの理由がある」
皓: 「どのような理由で?」半ば付き合いのような問いかけ。
“火鷹”: 「一つ目は、この街を滅ぼしかねない兵器の実験を阻止すること」
“火鷹”: 「もう一つは……君の言葉を借りようか」
“火鷹”: 「“イレギュラーを正す”こと」
皓: 「──────」このような状況で、世間話のような、それでいて深刻な話を始める。
皓: 大物というべきか、どこか抜けていると言うべきか。
イブ: 「さっきの?」乱射してきたチームを指して。
GM: イブの問いに“火鷹”は頷く。
皓: 「なるほど。と言いたいですが、いくつかそれで疑問も出来ますね」
“火鷹”: 「正確に言えば、彼らのチーム名はイレギュラーではないし、正規の手続きの上で参加登録している」
“火鷹”: 「この場合の“イレギュラー”とは、一人だけ」
イブ: ほむ。と聞く姿勢。
GM: 腕時計に目をやって。
“火鷹”: 「君達の時間をもらうのは心苦しいから、知っている限りの事を簡略に伝えようか」
皓: 「そうしていただけるとありがたいですね」
“火鷹”: 「このビルには“00G”(ダブルオー・ジー)と呼ばれる兵器が隠されている」 ※9
“火鷹”: 「いくつかの組織と、開催者である葛木君が、その兵器を手に入れるため勝利者になろうとしているんだ」
GM: わかったかな? と目で問う。
イブ: 「開催者が勝利者になる?」こて。
皓: 「そして、貴方は、それを阻止したい。と」
皓: 「その志には賛成ですよ。そんな兵器の稼動など──冗談じゃない」
“火鷹”: 「この大会の“ルール”では」
“火鷹”: 「参加者が全員リタイアしてしまえば、権利があるのは彼だけ…という事になるんだ」
皓: その様な“ルール”は明示されたたかな。と思い出そうとしつつ。
GM: 恐らくは、開催者と協賛者サイドだけに周知されている特別ルールだろうね。
イブ: 「そーだったんだ。」頷いて。
イブ: 「街がぶっ壊れちゃうのは、やだよ。俺。」賛成、の言葉に追従する。
“火鷹”: 「破壊するだけの力には、何の意味も無いよ」目を伏せて。
皓: 「それは俺も同じだよ、イブ」
皓: 「俺たちは、こんな街でも生きている。……いや、ここでしか生きる術が無いと言うべきだろうな」
皓: 鎖に繋がれた、その身を置くところなど──
“火鷹”: 「そして、もう一つ」
イブ: 「余所に行く気なんかないし。」もう一つは?と先を促す。
皓: そのまま、火鷹の言葉を待つ。
“火鷹”: 「……君達がついさっき出会った人物」
“火鷹”: 「僕の…腹違いの弟に当たる、鳥越劉斗と呼ばれていた人物の事」
皓: 「────」
イブ: 「“イレギュラー”……って、あれ。それ…。」どっかで聞いたなその名前(何
皓: 微かに身体が強張る。──解っていた“事実”でも、本人に告げられるそれは重さが桁違いで。
イブ: 「……“誰でもない誰か”…?」なんとなく嫌な雰囲気を感じ、皓の様子を窺う。 ※10
“火鷹”: 「彼に何があったのか、“僕”には推測する事しかできないけれど…」
“火鷹”: 「記憶を無くし、心を無くし、残された闘争心のみが修羅たる彼を生かし続ける」
“火鷹”: 「僕にはそんな彼が不憫でならない。…止められるならば、彼を止めてあげたいんだ」
皓: 「………………ぁ」
皓: 「──あの人には……戻るべき“心”が、もう既に失われている……の、ですか……」
皓: 途切れるような声で。
“火鷹”: 「……それを知る手立ては、僕には無いよ」
“火鷹”: 「この“名”を持つ限りは…ね」
イブ: 「……。」自分は知らない。“彼”の話になると、この相棒がどうしてそうまで動揺するのか。
イブ: 自分の仇とも言えるその人物に。
“火鷹”: 「…さて、そろそろ排気管からの漏れは収まっているんじゃないかな。彼らは先へ行ったと思うよ」
GM: 先程の重苦しい言葉を打ち払うように、強い調子で言う。
イブ: 「…止めるったって、止まるの?あれ……。」さっきの掃射といい。
皓: 「────」ふらり、と、頼りなく身体を揺らし、背後を振り向いて。
皓: 「──止める」
イブ: 「先へ。…行くか。」その後ろ姿を、眇めた目で見て。
皓: 「そのために……僕は今、ここにいるんだよ。きっと。……火鷹さん」
GM: 皓の目を見つめ、言葉の先を促す。
皓: 「あの人を止めることが──僕の、“鎖”を断ち切る鍵ですから」
皓: 呟くような決意で、部屋を後に。
イブ: 「……。」“何があったのか”。知らない。今も、昔も。
GM: 目礼にて返答し、皓の背を見送り、
イブ: 「…じゃ、俺も、行くから。」それでも、後に続いて出て行こうとして。
“火鷹”: 「――それと。イブ君」呼び止める。
イブ: 「ん、何?」
“火鷹”: 「こんな話をした後に何だけれど。君にそのつもりさえあれば、私の処に来るつもりはないかい?」 ※11
イブ: 「…おいさんのところ?」どういう意味だ、と首をかしげる。
“火鷹”: 「君は“現状”に不満を持っている。いや、迷いと言えばよいのかな」
イブ: 「………なに、それ。」笑う。…笑えたはずだ。
“火鷹”: 「私ならば君に手を差し伸べる事ができる」
“火鷹”: 「…いや、此の言い方は余りに傲慢だね、訂正しよう」
“火鷹”: 「君の手助けができるかもしれない」
イブ: 「不満なんかずっとあるし。何に迷う余裕があるってんだよ。」
“火鷹”: 「“君一人”の迷いや不満であるならば、何も言わないよ」
イブ: 「……俺に。何の。」言葉の端が揺れる。迷い。
GM: 肩を竦めて。
“火鷹”: 「――戯れ言だったかな。すまなかったね、引き留めてしまって」
イブ: 「………。」行ってしまう。
イブ: この手も。
イブ: 今、差し伸べられた手も、多分去ってしまうんだ。
イブ: 「……“俺一人”じゃなかったら、どうだって言うの。」
“火鷹”: 「何も言わないよ。私からはね」
GM: 意味を含んで笑みが深まったようにも見える、彼の表情。
イブ: 「………そう。」背中を向けて、今度こそ部屋から出る。

イブ: 見透かされている。でも、忘れなければ。
イブ: 気づいてはいけないことだ。

 思う。
 部屋に引き込んだ時の彼の手は、
 “通り”で会った時よりも、少し、冷たかった。



TOP / NEXT


 DOUBLE+CROSS THE 2nd EDITION
「『Gloria in excelsis deo』黒巣市A.D.2026−Act III」