『Gloria in excelsis deo』 黒巣市A.D.2026−Act III
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 Opening Phase-01 「白い闇」
 ScenePlayer:“笑う道化師” 時非 未来/場所:スラムの事務所/時刻:早朝/登場:不可

 登場Dice 未来: 1d10=(8)=8+33=41 ※1

 不安定な足場をいくつか組み合わせた桟橋を渡り、
 錆びた鉄の寿命が尽きるよりも早く靴音を鳴らして階段を上がった先に、その事務所が在る。
 其処は、スラムの一角にある、ありふれた廃ビルの一室。
 窓際に置かれたピエロの人形が、終始変わらぬ笑みを投げかけて客人を招く。
 今は、物憂げに流れる白い闇へと向けて。

 暫く留守にしていた間に侵入して寝泊まりしていた輩を部屋から放り出し、
 何とか部屋を元のような“事務所”の状態にまで戻した時。
 威勢のいい声と共に、ノックも無く客人が現れた。
 断りもなく入ってくるこの人物――もとい
 犬の飼い主の名は、榊 深奈。


深奈: 「未来ゥー。オマエ知ってるか?」
未来: 「あー、ったく。ちょいと部屋を留守にするとこれだ。先住権ってのを知らんのかいね」
未来: ぶつくさ言いながら片付けていると掛けられる声。
GM: ひょっこりと室内に現れた“彼女”は、いつもと同じく陽気な口調で
GM: 手が離せないキミの状況そっちのけで話し掛けてくる。
未来: 「あん? 知ってるかって何をだ。美味い話なら乗るぞ、こちとらもう2日以上水しか飲んでネェ」
未来: 振り返るのも面倒だ。
深奈: 「いや、どっちかっていうとマズイ話?」疑問系で。
深奈: 「腹の足しにはならないかもなー。オマエにとっちゃ」
未来: 「…あー、ただアレな」
未来: 「幾らどんだけ美味くても、もう二度とこの間みてぇに――って、まずいのかよ、話になんねぇー」
未来: うっわ、なんだこりゃ。人の住みかで盛ってんじゃねぇよとか文句言いつつ。片付け続行。 
深奈: 「こっちとしちゃ仕事のネタだけどな」ぽりぽりと後ろ足で頭を掻いて。
未来: 「っで、その不味い話をわざわざ持って来たからには、何かあるんだろ?」
未来: どうにか人の座れる環境になった。――まぁ、本人視点でであって実際には十分以上に汚いのだが。
深奈: 「まあ今度のはガセじゃないから安心しなよ」
深奈: 「でな。クロスタワーで開催するイベント。バトルロイヤルの主催者、“アイツ”だってよ」あっけらかんと。
未来: 「うわーあんしんしたー。…って、あ?」棒読みで、茶化す様に答えようとした所でその言葉。
深奈: 「ほーら安心した? マズイ話で腹の足しにもなりやしないのに」
未来: 瞬時には、その言葉の意味が飲み込めず。頭の中でその言葉を少し転がし――
未来: 「――へぇ、そいつぁ。確かに、まっずい癖に俺向きの話だことで」
未来: 「腹の足しにはならねぇが、空腹は吹っ飛ぶな」 口元に浮かぶのは、笑みと呼べるだろうか。
深奈: 「アタシは情報料もらって腹の足しにするけどな」
深奈: 「何でも前大会で優勝して成り上がったとかって話? サクセスストーリーとしちゃ出来すぎだな」
深奈: 「もっとも、そのせいで圧力やら何たらで、こちとらエラい苦労してんだけどな」
深奈: 「本体でオマエんち行くワケにも行かねぇし」
未来: 「まぁ、“この話”に付いては報酬に糸目は付けねぇっつったけどよ」
未来: 「…本当に持ってくるなんざ、これっぽっちしか思ってなかったが」
深奈: 「何でも屋と情報屋を一緒くたにするなっての」
GM: 軽口を叩いて。
深奈: 「ま。生身で調べてるアンタはもっと苦労してるだろ。“心中お察し致します”とでも言ってやろうか、ハハハ」
未来: 「ありがたやありがたや、情報屋様々って奴で」なんまんだぶ、と。拝んでみせ
未来: 「はっは、お陰で寝るところにも困ってるぜ。だから、まけてくれ。あと、飯をくれ」
深奈: 「ビタ一文まからないしメシもやれん」
未来: 「だろうな、期待もしてねぇ」うむ、肯き。
深奈: 「まあほら、あれだ。オマエ参加して賞金で払ってくれてもいいんだぜ?」
未来: 「…うっわ、え、何。お前それ本気で言ってるのか?」まるで、真昼に幽霊でも見たかの様な驚愕の表情。
未来: 「『いつでもニコニコ現金払い、それ以外は受け付けません』」
未来: 「とか普段から豪語してるお前が、そんなギャンブルみたいな事言うなんざ信じられない」
深奈: 「ここまで調べたけども、逆に言えばこれ以上はイベントのせいで調べらんないからな」
深奈: 「これ以上調べたかったら単身切り込んで玉砕してみたらどーよ?」
未来: 「どんな裏がある。さぁ吐け、吐いてみろ。……あー、そーいう事ね」ぽりぽり、後ろ頭掻き
深奈: 「フフフ。あとはさ、アタシにだって策ってのがあるのだよ」
未来: 「うわー、その笑い方マジこえー。…で、何企んでるんだ」
深奈: 「強いモン同士で同士討ちしてくれたら、万々歳じゃん?」(何)
未来: 「貴女様もやる気ですか」
深奈: 「バトロワなんて言っても、最終的にゃ生き残ったモン勝ちってわけさー」
深奈: 「オマエに引っ付いてれば、それなりに進めるんじゃねーかなーとか」
深奈: 「オマエが殺られたら別のチームに移るが(きっぱり)」
GM: 犬がによによと笑う。
未来: 「うっわー、素晴らしく安心出来るチームワーク。まさに安心して背中を任せられるって奴ですな畜生」
未来: 「基本的に俺に拒否権なんざネェの知ってて言ってるだろテメェ。畜生、覚えてろありがとうございます」
深奈: 「お客様のお役に立てて嬉しゅうございますことよ。オホホ」
深奈: 「――それに、さ」茶化して笑う口調が変わる。
未来: 「くっそ、馬鹿にしやがって社会的弱者をいたぶるドSめ。…あん?」 変わった口調に、怪訝な声。 ※2
深奈: 「親切と丁寧さをモットーとしてる情報屋としては、客に先を越されるってのがガマンならない」
未来: 「情報は自分の手で掴みたい、ってか。素晴らしい職業意識だこと」浮かぶ表情は苦笑い、だろうか
深奈: 「途中でオマエが野垂れ死にしてたら夢見悪いしなー」
未来: 「安心しろ、こう見えても『お前まだ生きてたのか』とスラムの人気者だぜ?」
未来: 「――それに、少なくとも“まだ”死ねネェよ。例え、死んでもな」
深奈: 「…そうだな」ぽつりと。
深奈: 「オマエは死んでも、なんか自然分解されなさそうだしな」
GM: 大まじめに言い切って。
深奈: 「とまあ、色々言ってっけど、本音なんて決まってるじゃん。大金もらってガッポガッポのウハウハさー」
GM: 湿気に満ちた室内にて、けらけらと笑う。
未来: 「うわー、建前台無しー」
深奈: 「最終決戦はアタシとオマエな」びし、と指差して。
未来: 「おう、任せろ。峰打ちは苦手だ」びっ、とさむずあっぷで応え。
深奈: 「それに、黒巣に伝わる格言、知ってるか?」
未来: 「色々あるが、どれだ」
深奈: 「黒巣市って“あにまる”には優しいんだぜ?」(何)
未来: 「え、ちょ。おま」(何)
深奈: 「それだけでアタシ超有利! 勝ったも同然!!」
未来: 「本体で出る気ゼロかよ…!」 今日感じた、一番の戦慄
深奈: 「だってほら。本体で死んだら怖いじゃん」
未来: 「俺は死ぬんだが」
深奈: 「事務所は有意義に使ってやる」
GM: 片付け途中の室内を見渡して。
未来: 「前、『こんな所死んでも使わない』って言ってなかったか」
深奈: 「アタシが使うんじゃないよ。きれいさっぱり売ってカネにする」(何)
深奈: 「カネは天下の回りモノ〜♪ってね」
未来: 「うっわちょーゆーいぎ。金の亡者め」ぼうよみ(何)
深奈: 「おっといけねぇ、時間くっちまった。んじゃ登録しておくからなー、書類選考で落ちたらオマエの責任な!」
未来: 「それは書類不備のお前のせいダロ。まぁ、その辺の手続きは任せるわ」
未来: 手をしっし、と追い払う様に動かし
深奈: 「オマエももうちょいあにまるに優しくしろよな。んじゃ!」
GM: そして、来た時と同じように、“彼女”は唐突に姿を消した。
未来: 「その前にお前が俺に優しくしてくれ、っと」 もういねぇや。

未来: 「…に、しても。やっと、か」
未来: やっと、手の届く所まで来た。
未来: あの日失ったモノは大きく、今の自分にあるのはただ、その時の意趣返しをするという誓いのみ。
未来: 「…くく」 小さく漏れる笑いは、何を思っての物か。
未来: 「……にしても」
未来: 暫し経ち、小さく呟き。ソファーに背中を預ける。
未来: そこにあったのは、弛みきった表情で。
未来: 「腹ァ、減ったなぁ……」ぎし、と。弛んだバネが悲鳴を上げる
未来: 暫し後に控えた戦いまで。彼の生命を賭けた“戦い”は続く。ていうか現在大絶賛続行中(何)

 空腹も相も変わらず。
 外の霧も限りなく深い白。階下に溜まる淀んだ水は黒く。
 水を渡り、霧の向こう。
 窓辺の道化の笑みは、そびえ立つクロスタワーへと。



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 DOUBLE+CROSS THE 2nd EDITION
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