『Gloria in excelsis deo』 黒巣市A.D.2026−Act III
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 Opening Phase-03 「漆黒の獣」
 ScenePlayer:“音よりもなお速き” 矢作 運/場所:スラム/時刻:夕暮れ時/登場:“金色の獣” 佐伯 詩架(指示後に可能)

 登場Dice 運: 1d10=(1)=1+38=39 ※3

 “禍福はあざなえる縄の如し”
 幸福も不幸も順番に訪れるっていうけれど、その分量は等しいのだろうか?
 世の中なんて不公平でできている。この街だってそうだ。
 そんな世界で生を望むならば、生き馬の目だって抜く。

 先日、調達のためにテンペストの拠点を襲撃した。
 その少し前は何処かの企業の物資保管所。
 ぶっちゃけ、警備が薄そうな処だったら何処だって構わない。
 こちら側にも損害はあったけれども、ひとまず全員帰ってこられたのは幸いだった。
 手に入れた物資を闇市で売り払い、“分配”された品である靴は、運の足には少しばかり大きかった。 ※4

 「直ぐに大きくなるさ」と笑いながら、真新しい靴を放り投げて寄越した“姉”の一人は、
 たった今、“アイツ”に切り裂かれてゴミのように放り投げられ、
 欄干に引っかかった骸は作り物のピエロのように、笑みのない顔を向けた。
 切り裂かれた腕は皮一枚でぶらさがり、それを伝って筏に広がる“赫”。 ※5
 その色すら塗り潰す白い濃霧の中。漆黒が動き、瞬時に間合いが詰まる。


GM: いつもならば簡単にかわしている筈だった。
GM: ――が。履き慣れない靴が木橋の隙間に挟まって、バランスが崩れる。
運: 「──っ!」
運: 左手をつき、バランスを保とうとするも、相手のほうが──速い!
GM: 一瞬を逃さず、獣の爪先が右手に握った銃を弾き飛ばす!
運: 「──あっ!?」
運: 一瞬、逃げることを忘れ銃へ視線を送ってしまう。
GM: その行き先を確認する間もなく、次の瞬間には地に倒され
運: 「か、はっ──」
GM: 太い前脚で肺を押し潰さんとばかりに、のし掛かられた。
運: せめて、あの銃に手がとどけば──届かない、それはわかっているが、ただ黙って殺られるわけにはいかない
GM: 猫科の巨大な体躯が、優越の笑みで見下ろして問う。
運: 「──くは」
運: 息ができない、最後の一息までも押し出されてしまったようだ
運: 背後にのしかかる獣を見やる。
漆黒の獣: 『……“ナイトハウンドの妹”はお前か?』
運: 「──!」獣がしゃべった、そのことよりもその言葉のほうに驚きを覚える
GM: その気になれば簡単に首を食いちぎることのできる体勢。だが、それはせずに。
漆黒の獣: 『矢作修の――“石”は他にもあるのか?』
運: 「それ、は──修、兄の──?」とぎれとぎれに疑問を口にしてしまう
運: 「──石?」疑念が深まる。
漆黒の獣: 『矢作修が持っていたモノと同じモノだ』
運: 「なんの、ことか──わからない──よ。」その一言がどういう意味をもたらすのか、そんなことは気づきもしない。
運: 「たとえ知っていたと──しても、なんで──おまえなんか、に──」
漆黒の獣: 『……無し、か』
GM: 細い肋骨が軋む。
漆黒の獣: 『無ければ用は無い』
GM: じわじわと、しかし確実に死へ近づく重量。
運: 「────」意識が遠のいていく、このままだと──
運: 銃をとらなければ、この小さな体では何者にも──対抗できない
運: せめて銃さえ、この手にあれば────








 登場Dice 詩架: 1d10=(4)=4+34=38

 “黒巣バトルロイヤル”の開催が数日後に迫った。
 申し込み締め切り日は、明日。参加は二人一組が原則。パートナーのアテは無い。
 腕試しにはもってこいだと思うのだけれど、師匠は良い顔をしなかった。

 こっそりと出入りしているスラムの一地区から、立て続けに鳴り響く銃声が聞こえた。
 殺傷事件の類は此の街に於いてはそう珍しいものでは無いのだが、
 その大半は高価な弾丸を消費しない手段によるもの。
 サブマシンガンなんて、財力の無いこの付近の住民の武器としては全く馴染みがなく、
 先日、貧民街A地区13番通り――通称“殺戮通り”で
 企業人達と住民たちの「流れ弾から始まった狂騒劇」が
 丸一晩に渡って行われていた事が、例外としては記憶に新しかった。

 ともあれ、今回のケースはスラムの住人同士の抗争ではない。
 思考よりも早く、足は駆け出していた。

GM: 漆黒の獣。それが“何か”を踏みつけている。
詩架: 思考よりも身体のほうが速く反応していた。跳躍、着地、反動による回し蹴り。目標は漆黒の獣。
漆黒の獣: 『――!』
GM: 足元の運を踏み台にして跳躍。
運: 「ぐふっ」
詩架: 本来合気道には蹴りなどという代物はないのだが。裏通りに行けば合気道を含む我流のほうが効果は高い。
GM: 回し蹴る詩架の足を蹴り、跳躍して反対側の桟橋に着地。
運: つぶれた肺腑を気にする前に、銃を求めて前へと匍匐する。
GM: くるりと身を翻し、面と向かう。
詩架: 「状況はよく見えないけれど。明らかにちびっこ苛めるのはよい傾向とは言えないと思う」
運: どっちにしろこの体は、大抵のことでは死ぬことができない。それはわかっていること。
運: 「かはっ」つぶされた体が再生し、体が呼吸を始める。
詩架: 「生きてるようで何より。立てる?」目でちらりと確認して声をかける。
運: 「あ、ありがとう。」まだ意識が薄い、だが誰かに助けられたことだけはわかった。
運: 銃までは、あとすこし。
詩架: 「二対一。この状況では分が悪いと思うけど、続き、する?」漆黒の獣に向かって声をかける。
GM: 二人の様子に、漆黒の獣がうっすらと笑う。
漆黒の獣: 『誰に物を言っている』
運: 銃に手が届く。振り向き、獣の額に焦点をあて、間を置かず射撃。
運: 「──はー、はー。」呼吸がまともに戻ってきた。だいじょうぶ、いける。
GM: 真横に跳躍。擦過した銃弾が後ろの橋桁を砕く。
運: 「危ないところを助けていただいて、ありがとうございます。」まずは助けてくれた女性へとお礼を。
詩架: ところで今更ながらですがGM…コレに見覚えは?
GM: 極めて似ている。が、目の色だけが違う。
詩架: 了解。
GM: 前屈し、唸りを上げて、飛びかかろうとする――が
GM: 何かを気取ったのか、ちらりと霧の向こうへと視線を投げた。
詩架: 「……?」視線を追いかけて顔を上げる。
GM: ひたすら白い霧が視界を奪うばかりで、何も見えない。
漆黒の獣: 『――“今は”お前に構っている暇も無いようだ』
運: 「待ちなさい。なぜあなたは修兄のことを知っているの・・・? 石ってなんのこと!?」
運: 銃口は獣の額をピンポイントしたまま、呼吸はまだ荒いが、焦点は定めたまま動くことはない。
GM: ポイントされた銃口に意を介す事なく、運の言葉にはただ笑って
GM: 霧の中に裂けた暗黒へと身を躍らせ、漆黒の獣は姿を消した。
詩架: 「……」何か二人の間にあったのだろうと推測してあえて発言せず、立ち去った獣に視線を向ける。
運: 無駄弾は撃たない。今は、まだあいつには届かない。
運: 獣の気配がしなくなるのを待ち、銃を下ろす。
詩架: 「……何か因縁でも?」暫らくして口を開く
GM: 遠くで鳴り響いていた銃声も消え。霧が周囲を覆う静かな空間へと戻った。
運: 「よく、わからないです。いきなり霧の中から襲われたもので。」
詩架: 「そう……」ふと、手にしている銃を見て
運: 「さおり姉の、埋葬、しないと。」ぽつりとつぶやき、もう微笑みかけてくれることのない、姉に向かう。
詩架: 「……さおり? …浮田さおり?」首を傾げてみる ※6
GM: ゆらり。水の上に浮いている筏が、彼女の体を静かに揺らす。
GM: 血は筏を伝い、黒い水へと。
運: あ、ちなみに、黒獣はナイトハウンドの集会を襲ってきたわけではないですよな?
GM: 漆黒の獣は、武装した襲撃者達と共に現れて、
GM: 武装集団達は霧を隠れ蓑にメンバーがたむろっている処に銃撃を開始。
運: あらあら・・・全滅っぽいのか(汗
GM: その後、バラバラに逃げたメンバーや子供達を追って、
GM: 運とさおりは漆黒の獣を相手にする事になった、という状況。
GM: 全滅しているかどうかは解らないが、逃げおおせている者も居るかもしれない。
運: らじゃ
詩架: 「…そか。逝ったんだ。いい子だったんだけどな」ぼそと呟く。
運: 「さおり姉のお知り合いでしたか。」
詩架: 「ナイトハウンドの一部メンバーとは顔見知り。昔はこの辺にもよく顔出してたから」こく、と頷いて。
運: 「さおり姉、人見知りしないタイプだったから、友達とか知り合いとか、たくさんいたんですよね。」ぽつり、ぽつりと
運: 「あ、自己紹介もしてませんでしたね。わたしは矢作運といいます。」
運: 「危ないところをありがとうございました。」ぺこり
詩架: 「佐伯、詩架」言葉すくなに答える。
運: 「佐伯さん、ですか。」佐伯、佐伯、と頭にインプット
GM: 霧の向こうから鋭い声が掛けられる。
“??”: 「――誰か生き残っているか?」
GM: 特定の誰か対して、というわけではないが。
詩架: 「……!」眉を顰めて警戒する。
運: 声のほうへと注意を向ける。聞き覚えは?
GM: 聞き覚えはある。
“天雷”: 「此方はUGNだ。此処で何が起こった? 生き残っていれば速やかに保護する」 ※7
運: 「!」まずい奴が来た。あの雷撃の使い手だ。
運: 「じゃあ、また生きていたら、どこかで会えるといいね。」と詩架に声をかけ
運: UGNとは逆へ、急ぎ走り出す。
詩架: 「あぁ」手を振って答えて
GM: この深い霧の中、姿を隠すのは容易。
詩架: 「生き残ってはいたけど。立ち去った」声の主に返答を返す。
“天雷”: 「何があったんだい?」
GM: 霧を抜けて、髪の長い青年が姿を現す。
詩架: 「襲撃、かな。私も来たばかりでよくわからないけど」肩をすくめる。
“天雷”: 「…そう。襲撃した者達が何者かは判る?」
詩架: 「漆黒の獣。知り合い(?)かと思ったけど、違ったから、知らない」
詩架: UGNって、お師匠様が昔お世話になったとかいってたけど、面識なかったなあ等と思いつつ
“天雷”: 「黒い獣っていう特徴だけじゃ特定が難しいね。うちにも何人かいるし……」ふと。
詩架: 「私も黒い獣なら追っかけてるけど、確かにその特徴じゃ解らないね…少なくとも外見猫科」肩をすくめて
“天雷”: 「君はナイトハウンドの一員じゃないようだね――向こうでこの子を拾ったんだけど」視線を斜め下、後ろに。
詩架: 「?」首を傾げてその子を見る
GM: 何かが隠れた。
GM: ……ひょっこり。“天雷”の後ろから、運よりも更に年若いおさげの少女が顔を出す。 ※8
詩架: 「…? だれ?」
“天雷”: 「…名前は?」
少女: 「…………………ユメ」
“天雷”: 「…らしい。“彼ら”には手を焼かされているけど、いつでも問答無用というわけじゃないよ、私らも」
GM: 困ったように肩を竦めて。
詩架: 「ふむ。ナイトハウンドの子か。残念だけどさっきまでいた子はUGNって聞いて逃げていったけど」
詩架: ふむ、とため息ついて
“天雷”: 「名前は知っているかい?」
詩架: 「聞いてどうする? 敵対してるわけだし、知られると向こうも困るんじゃないだろうか」 ※9
“天雷”: 「彼らの個人名を尋ねた処で何にもならないよ。互いにね」
詩架: 「なんなら、その子の身柄で困るなら私が預かるけど」軽く首をかしげて聞く。
詩架: 「私の身元なら、明かせる。本人だし、UGNとは敵対も何もしてないし」
“天雷”: 「ふむ。彼らの事情もあるだろうしね。ユメ、兄姉達の処に連れていってもらうといいよ」
GM: ユメは小さく頷いて、詩架に駆け寄る。
詩架: 「確かに預かった。わたしの名前は佐伯 詩架。今は葛貫流合気道場に身を寄せてる」こく、と頷いて
“天雷”: 「葛貫流……ああ」思い当たるフシがあったようだ。
詩架: 「まぁ。この子は確かに預かったよ。ほかにお仕事あるなら、行った方が良いと思う」
“天雷”: 「そうするよ。――全く。血の気が多いのはバトルロイヤルだけにして欲しいものだね」
GM: 運ばれて行く怪我人達を見遣り。
詩架: 「バトルロイヤル。実は相方に困ってたりするんだよね。力試しにはちょうどいいのに」肩をすくめて ※10
“天雷”: 「……そう」
“天雷”: 「僕は興味が無いけど、誘ってみたらどう? ナイトハウンドの誰かでも」
詩架: 「―――そうだね。だれか腕がそこそこ立つ人間探して誘ってみる」
詩架: こく、と頷いた
GM: 彼は他の隊員に呼ばれて返事をし、背を向けて霧の向こうへと。
詩架: 見送ったあと、誰にとも向けずに声をかける。
詩架: 「ねえ。そこで隠れてる意味。なくなったけど」
運: 「なんだ、ばれちゃってたか。うまく隠れたつもりだったんだけどな。」ひょっこりと現れる
運: 「ユメ、おいで。」
ユメ: 「サダメおねーちゃぁーーーん!!」とてとてと駆け寄る。 ※11
運: はっしと抱きとめる
詩架: 「気配はちゃんと消さないと。中途半端はよくない…ところで」
運: 「もう大丈夫だよ。怖い人たちはどっかいったから。」よしよしとなだめる
ユメ: 「あのね。あのね」抱きしめられて、顔を埋めて。
ユメ: 「ユメ、金色で黒い天使さんに助けてもらったんだよ。さっきのおねえちゃんじゃなくて」
運: 「金色で黒い・・・?」
GM: こくこく。一生懸命顔を縦に振って。
運: (さっきの襲ってきた人たち、UGNとは敵対してるのかな・・・?)と心に思いつつ
詩架: 「まあ、無事な人間に出会えてよかったね」
運: 「……はい。」
詩架: じっと、運のほうを見る。
運: 「なにか?」はたと見られていることに気づき声を掛ける
詩架: 無言でまじまじ。何かを測るようにしてみている。―――暫らくして納得がいったように目を伏せて。
詩架: 「…運。貴方、腕は立つ?」
運: 「一応、それなりには立ち回れるほうだと・・・さっきまでは思っていたんですけどね。」
運: ふと先ほどの戦いを思い出す。
運: 「やっぱり、上には上がいるもんですね。」はは、と苦笑。
詩架: 「…まぁ、アレは例外、だと思う。―――私、さっき話題に出てたバトルロイヤルに参加したいの」
詩架: 「参加するには二人一組でね、相方がいないから絶賛募集中」
運: 「バトル・・・ロイヤル?」ふと、ずいぶん前に聞いたようなフレーズ。
詩架: 「どう? これも縁でしょうから」
運: 「たしか──優勝者には、全てが与えられる──でしたっけ?」
詩架: 「そ。負けるつもりはさらさらないから、それなりに気を引き絞ってほしいとは思うけど」
運: 「(そうだ、たしか修兄が言ってた──4年前のあのときに)」
運: 「わたしでも、参加できるんでしょうか。」
運: まだ子供で、そして戸籍すらない。
詩架: 「申請すれば出来ると思う。このご時世だから、出自等は問わないと思う」
運: 「──わかりました。わたしも、ちょっと知りたいことがあるし、よろしければ。」
詩架: 「私は自分を弱いとも思っていないし、強いとも思っていないけど、やるからには、勝ちに行く。いい?」
運: 「はい。」にこり、と笑顔で答える。
詩架: 「一蓮托生。よろしく」
運: 「こちらこそ、よろしくおねがいします。」
詩架: 「連絡先、ここだから。何かあったらいつでも呼んで。申請、こっちでして置くから」ひょい、とメモを渡す。
運: 「あ、はい。」メモを受け取り「こっちは──えっと」といって連絡方法を伝えよう。
運: きっと特殊な連絡手段があるにちがいない(何 ※12
運: 「生き残りを集めて、再編もしないといけないし──」
運: 「せめてリーダーが生き残っててくれることを祈るしか、ないかな。」
運: 「それじゃ、また後で連絡します。」といって幼いユメをつれ、霧の中へと歩き出す。
詩架: 「じゃ」見送ってから、自分も踵を反して帰る。

 チームの面々ならば、各自が安全を確認次第、“万が一”の場所へと集まっていることだろう。
 ――何人が生き残っているかは判らないけれども。

GM: シナリオロイス、感情の提示をお願いします。
GM: 運は“漆黒の獣”orバトルロイヤル、詩架はバトルロイヤル。
運: 漆黒の獣に P:□遺志 N:■恐怖 で。
詩架: バトルロイヤル ■執着/厭気で



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 DOUBLE+CROSS THE 2nd EDITION
「『Gloria in excelsis deo』黒巣市A.D.2026−Act III」