『betrayers』 黒巣市A.D.2026−Act III+
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 Middle Phase-02 「決別」
 ScenePlayer:“笑う道化師” 時非 未来/時刻:29日朝/場所:水っぽい中/登場:不可

未来: 水っぽい中ってなんですか(何)
GM: それは後で説明する(何)
 登場Dice 未来: 1d10=(2)=2+38=40

GM: 極限までに凝縮された霧が竜の姿を取り、事務所ごと未来達を飲み込んだ。 ※7
GM: 濁流とも気流ともつかない猛烈な流れに撹拌され、体は何度も回転させられた。
GM: 水の中にいるように体が浮き、目を開けなくても白い闇が広っているのを感じる。
GM: 深奈は、振り落とされまいと必死で未来の背に爪を立ててしがみついていた(何)
未来: いてぇ。(何)
GM: 健一は、未来の足首をこれまた必死で掴んでいた(何)
未来: てめぇらちょっとは自分で助かる努力をしやがれ!(何)
健一: 「僕は一般人なんだ、少しでいいから労ってくれ!」(何)
未来: 会話と呼吸は可能なんですか先生。(何)
GM: うむ。声は遠く聞こえるが、とりあえず響きはするようだ。
GM: 叫びつつも、彼は別の何かに気がついて叫んだ。
未来: 「うっげぇ。なんだこれ気持ちワリィ」不快指数はんぱねぇぞ。
健一: 「あすらん、向こうに玲奈が!」足を引かれる。
GM: 足下の先を見ると、白い闇に浮かぶ玲奈の姿があった。
未来: 「あん?」 健一の言葉に。示された方向へと目をやる。
未来: 「…あぁ。お前、本当に捨てられた訳じゃなかったんだな」(何)
未来: 軽口一つ。そちらへ向かう事は出来そうですか。
健一: 「だから何度も言ってるだろ!」(何)
GM: 自分達の周囲の流れも徐々に収まり、普通に立つような体勢を取ることができた。
GM: けど、移動できるほどの安定感は無い。
未来: 「おーい、こっちがわかるかー?」 なら。せめて声だけでも掛けてみようか。
GM: 湖の上に上半身を出して、こちらを見ている玲奈。
GM: その周囲は、凪のように穏やかだった。
未来: なにその不穏な演出。(何) ※8
GM: 不穏とか言わないでくれ(何)
玲奈: 「…健ちゃん…未来君………」
GM: 彼女は人の姿を取ってはいたが、白い首筋には幾筋かのエラがあり、
GM: 肩から腕にかけては藍色の鱗が生えている。まあ、エグキュマ人魚ですからね(何) ※9
GM: 鱗の面積こそ今まで見た時より増えてはいるが、変わらぬ美貌だった。
GM: 彼女は、鱗の生えた片方の腕で胸を隠し、うつむきながら口を開いた。
玲奈: 「…ごめんね。私…戻れないから………お別れを言いに来たの――」
未来: 「…あン? そりゃ、どういうこった。俺はともかく、こいつが納得しないだろそんなの」
健一: 「何を言って…! 君が帰る所はちゃんとある!」
健一: 「今の住居がイヤだったら、働いてお金を貯めてもっと良いところに住もう!」
未来: こいつ、と言いながら。足をぴこぴこ動かす。
健一: 「ばっ、バカ、振り落とそうとするなよ、怖いだろ!?」
健一: 「姿が変わったって、僕達は一緒に居ると誓ったはずじゃないか」
未来: 「落ちねぇよ、ちょっと離ればなれになるだけだ」(何)
玲奈: 「………そうじゃないの」
玲奈: 「姿じゃ…ないのよ。健ちゃん」
未来: 「じゃあ、どうしたってんだ。別に、コイツに愛想を尽かしたって訳でもネェんだろ」
健一: 「割れるとか離れるとか切るとかいう言葉は不吉だから、今この場で使わないでくれよ」
GM: 小声であすらんを非難してから。 ※10
玲奈: 「――うん、そう。だから、嬉しい。そう言ってくれて」
健一: 「当たり前じゃないか…ほら、僕の手を取って。一緒に此処から抜け出そう」
未来: 嫌だなぁ。下半身は水に溶けてたりしないよなぁ。(何)
GM: 玲奈の表情は安堵に和らいで。
玲奈: 「“それはさせない”の」穏やかに笑う。
健一: 「……? 今、なんて…?」
玲奈: 「“一緒に居る”って、誓ってくれたでしょう…?」
未来: 「おい。何かマズいぞ、アレは」 ※11
玲奈: 「…ヒトであるつもりだったのに」
GM: 健一を誘うように、玲奈は両手を前へと伸ばす。
玲奈: 「――あの日、私は“ザクロ”を食べてしまった。水底で…そこへ、一緒に帰りマショウ」
未来: 健一の首根っこ掴み直そうか。(何)
GM: 隠されていた胸の谷間付近には、小さな赤い結晶が。
GM: 一瞬、輝きを強くしたかと思うと同時に、彼女の周囲から何本もの赤い触手が伸びて襲いかかってくる。
GM: そして、収まっていた奔流が再び荒れ狂いだした。
未来: 「おい、どうする美河。愛しのハニーのところへ行きたいか──っと」
未来: 伸びてきた触手を。刃へと変えた義手で切り払おう。
GM: 複雑な水流が触手の動きを変え、切り払いきれなかった何本かが腕や足に巻き付く。
未来: 「ッチ。足場が悪すぎんだろ…!」毒づき。それでもどうにか振り払おうと、藻掻く。
GM: ザシュ。
GM: それまではただの鞭のように巻き付いていた触手が、突如として刃に姿を変えて、未来の腕を切り裂いた。
未来: いてぇ。(何)
深奈: 「ケンイチ!?」
GM: その一瞬をついて、巻き付かれた触手に引かれた健一が、玲奈の姿をした化け物へと引き寄せられた。
未来: 「づ…ッ」痛みに、腕の力が緩んだか。
GM: もう一度手を伸ばしたが、届きそうもない。
GM: 恐怖にこわばっていた顔を弛め、健一は、寂しげにも見える表情で
GM: 未来達の方を向いて、笑った。
健一: 「彼女を、頼むよ――」
GM: そして未来達は、激しい濁流に再び飲み込まれた。 ※12
未来: 「ってめ。何そんな悟り切ったような事言ってんだ!」
未来: 「何時もみたいに、みじめったらしく『助けてくれ!』とか叫べばいいだろうが!」
未来: 視界の端に消えていく健一へ。叫ぶ。
GM: それがキミに残した、彼の、最期の言葉だった。

 ・・・

??: 「──おーい。生きてるのが一人と一匹、こっちにも引っかかってんぞー」
GM: 濁流に呑み込まれ、気付いてみれば、何処かの波止場に流れ着いていたようだ。
未来: 「──…ッ」 ごほっ、と。水を吐く
GM: 此処も竜に襲撃されたらしく、あちこちに折れた丸太や瓦礫が散乱していた。
未来: 「ここ、は──」目を開く。視界に入る風景に、無意識に言葉が漏れる。
未来: フラッシュバックする、別れの光景。がばっと、身を起こそうとする。
??: 「大丈夫かい? 此処は十三番通りの波止場…だった所さ。とりあえず生きているようだね」
未来: 「──…〜っ」痛みに、顔を顰める。見れば、先の傷に加えて打撲も大分増えているようだ。
GM: 背中にしがみついたまま気を失っているにゃんこを、ひょいと持ち上げられた。 ※13
未来: 「…誰だよアンタ」こんな状態だというのに。頭上から掛けられた声に、喧嘩腰に問いかける。
“天雷”: 「“天雷”。UGNの一員だよ」
“天雷”: 「生きているんだったら、私達に手を貸してくれないか? あの“竜”を撃退したい」
未来: 「UGN…ね。いきなりだなオイ、怪我人に向かって」 苦笑いを浮かべ。
“天雷”: 「アレがまたいつ襲ってくるかわからない。それに、まどろっこしい事が嫌いな性分でね」
未来: 「条件が一つ。知り合いが、あの“竜”に呑み込まれちまってね。出来る限り、救出したい」
未来: 「人に手伝えってんだから、そっちも手伝え」傲岸不遜に。
“天雷”: 「………わかった。出来る限り救出する方向で、対処したい」
未来: 「オウケィ、交渉成立だ。…ああ、その猫の扱いには気をつけろよ。引っかかれるだけじゃ済まないぜ」
未来: はぁ、と。脱力したように地面に上半身を預ける。
“天雷”: 「?」猫をぷらぷら揺する。
未来: 「──ったく、報酬の話もしてネェのに、依頼だけは受けさせやがって」
未来: 「死ぬほど高く付くからな、覚えてろよ──」 小さく、呟いて。空を睨んだ。
GM: シャー、ミギャー!
GM: 意識を取り戻した猫の威嚇が聞こえた。



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 DOUBLE+CROSS THE 2nd EDITION
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