『betrayers』 黒巣市A.D.2026−Act III+
横幅650pix、Internet Explorer環境ではフォントサイズ「小」を推奨します 


 Middle Phase-03 「記憶」 ※14
 ScenePlayer:“逆位置の太陽” 津嶋 皓/時刻:29日昼/場所:自宅近くの河川/登場:不可

 登場Dice 皓: 1d10=(1)=1+35=36
皓: 安い。36%

GM: 突如として爆発した“竜”。
GM: その衝撃波をマトモに食らい、はじき飛ばされた。

GM: ──コツ、カツン、カツン。
GM: 朦朧としているキミに、堅い木と革靴の小さな音がアスファルトを伝って交互に響いた。
??: 「――酷い有様だね」 ※15
皓: 「────」音に、声に。重たげに目線だけを向けて。
GM: キミの近くで足音は止まり、上方から、大きな独り言のように呟きが聞こえた。
皓: 「……誰だ?」ぎりぎり、相手に届くか届かないかの誰何の声。
GM: 杖をつきサングラスを掛けた老人が、誰何するキミ見ることなく、遠くを見つめている。
??: 「実質、たったの二人で、首一本を退けてしまうとは」
??: 「一撃に頼らず。今の黒巣市で、それが出来る者など極めて限られている」
GM: 感心したような口振りで喋り、小さく口笛を吹いた。
皓: 二人、と言う言葉に一瞬だけ反応。視線だけではなく、顎を其方に向け。
皓: 「……誰だ、貴方は……?」もう一度、さっきより大きな声。
GM: その合図に応え、大きな犬が棒状の何かをくわえて老人に駆け寄り、
GM: それを渡して傍らに行儀良く控える。
??: 「私の名は…訊かない方が、君のためでもある」
GM: 犬がくわえてきたのは、鳥越が取り落とした。 ※16
GM: 彼はそれを手に取ると、幾度か眺めすかしてから、皓へと放り投げる。
皓: 投げられた剣それにただ視線を投げて。
??: 「──“誰でもない誰か”は…」
??: 「『此処』に、障害でも持っているのかね」自らのこめかみを指で軽く叩いて、老人は微かに笑う。
皓: 「……」
??: 「もっと具体的に言えば、『記憶』…といったところだろうか」
皓: 「……どうなんでしょうか……」口調を変えて、ただ、相手を見上げ。
??: 「君は、何故、彼を呼び覚まそうとしたのかね?」
皓: 言葉に、一瞬黙るも。
皓: 「……目標だったから。僕の。──あの人は、ずっと」
皓: 「ずっと、前に立つはずだった……そんな人だった。憧れていたんだ……あの人の強さに」
皓: 「僕は、いつも……今だって……」
??: 「彼を殺すことになってもかね?」あっさりと、告げる。
??: 「彼は、呼び覚まそうとはしないほうがいい」
皓: 「──ご老人。……便宜上、こう呼ばせてもらいます」
??: 「構わないよ」穏やかな口調は変わらず、続きを促す。
皓: ひた、と前に立つ相手を見据え、立ち上がる。投げ出された彼の得物に手を伸ばし、取り上げつつ。
GM: 一瞬、傍らの犬が警戒の声を発したが、老人はそれを宥めた。
皓: 「『殺すことになるかもしれない』……それは覚悟の上です。勿論、その逆も」
皓: 「……いえ、後者の方がより確率は高いでしょう」
皓: 「それでも……憧れの行きつく先。貴方はそれを解りますか?」
皓: 「『その対象を抜くこと』……それは、換えられない目的なんです、何にもね」
皓: ふと思い出す。かつての“友”にも伝えたその言葉。
??: 「その剣で…かね? ──いいや、そうではない。君の憧憬が、彼を殺す。君が行うまでも無い」
皓: 「なら」些かふらつく脚を、無理に立たせ。
皓: 「僕は、忘れた方がよかったんですか? 彼を……冗談でしょう」
??: 「その剣を取り落とした。何が起こっていたのか、君には理解できるかね?」 ※17
皓: 言葉に、手にした剣を見た。思い出す、さっきの光景。
皓: 「…………あの人が、自分の得物を取り落とすなんて……初めて見た」
??: 「“記憶”のせいだよ。ご存じとは思うが、脳の容量というのは限られている」
皓: 「忘却が、そのキャパシティに余裕を生ませている。……よく聞く話ですね」それで? と、先を促す。
??: 「そう。…記憶を蓄える部分、思考する部分、体を動かす部分」
??: 「通常はこれらの機能の数%も生かされてはいない。OVですら何割か、といったところだろうか」
??: 「しかし、そのバランスが極端に崩された」
皓: 「……何故?」
??: 「…ふむ。これは話してもいいものかな。まあ、老人の戯言としてもらうとしようか」
??: 「“火鷹”となる筈だった鳥越劉斗は、その“火鷹”を拒絶し記憶を失った」
??: 「聞くところによるとイレギュラーがあったらしい。詳しい事は私も知らないがね」 ※18
皓: 「……それが、バランスの崩壊、ですか」
??: 「記憶を失った原因の一つは、容量オーバーだろう」
GM: 一度、杖で地面を突いて。
??: 「……ところで、各務に属する君は、『キメラ計画』というものを知っているかね?」
皓: 「……ええ」一瞬黙るも、それには頷き。
??: 「被検体・真田麻里亜は“キメラ”を扱うための膨大なデータを脳に宿した」
??: 「そのために、彼女は廃人同然となった。…まあ、他にも色々な要素もあったのだが」
??: 「鳥越劉斗はどうだろうか。彼には手足の麻痺という兆候が既に出ているようだ」
??: 「これでは君と戦う以前に、九頭竜との戦いで命を落とすだろう」
皓: 「…………」
皓: 「何の、冗談を……」笑う。掠れたそれで。
??: 「少し、似ているとは思わないかね? ──それに、あの“竜”」
??: 「見たところ唯ののようだが、その実、粒子の一つ一つがレネゲイドによる産物のようだ」 ※19
??: 「霧の粒子とキメラ…共に核があり、それら端末を操るものがある。似ていると思わないかね?」
皓: 「……ひとつ、いいですか」
皓: それに明確に答えず、問いかけ。
??: 「どうぞ」
GM: 老紳士は穏やかな表情を崩さず、黙って皓の言葉に耳を傾ける。
皓: 「……先日の黒巣タワーのイベント。あれにもまた、霧が在った」
皓: 「RV濃度の高い霧は、その日のうちに消えましたが、直後に今回の竜の件です」
皓: 「関連性を疑ってもおかしくない……“あの場所”の“核”は、本当に機能を終えたのですか?」
??: 「それは私にも分からない」
??: 「…が、新たなる核、謂わばコントロールするための存在が用意されたという見方もあるだろう」
皓: ふん。と軽く鼻を鳴らし、再度手にした剣に視線を落し。
皓: 「つまり……そこを叩けば……“竜”は消える。……単純に考えればそうなりますね」
??: 「──逆に考えてみるとすれば、キメラ計画を追う者が、九頭竜に目を付けないなどとは考えにくい」
GM: 明確な回答は避けて、コツコツと杖でアスファルトを叩く。
??: 「こそ泥に渡すよりは、存在を消してしまった方が良い」
??: 「私はそう考えている類の者でね。だからこそ、君にこの話を持ちかけてみた」
皓: 「……人を駒に使う。それを明言しますか、貴方は」
皓: 「此処の年寄りは……全く強かですね」笑う。普段なら見せない、その表情で。
??: 「“ゲーム”さ。私が此処に留まる由縁だよ」
??: 「それにね、この黒巣市が滅びてしまえば、別の街が実験場として使われる」
??: 「…他の候補地なんて限られている、推測も容易い」
皓: 「……負け惜しみついでに言わせていただきます」
皓: 「“あの人”が持たない。僕の前にもう立つことはなくなるかもしれない」
皓: 「そんなことを聞かされた時点で、僕は負けなんですよ」苦笑して。
皓: 「“鎖”は早々断ち切れない。……乗りましょう。その話に」
皓: 「僕はそれ以外にも、この街を残す理由がまだありますから」
??: 「そう言って貰えると思ったよ」
GM: 老獪さをサングラスの奥へ追いやって、老人は穏やかに笑う。
??: 「但し」
皓: 「はい」
??: 「これはほんのお礼代わりの忠告だが…」
??: 「今の状態のまま、彼に新たに記憶を植え付けようとすれば、廃人になることは免れないだろう」 ※20
??: 「よく覚えておくといい。…それでは、人が集まってくる前に私は立ち去るとしよう」
皓: それに、再度黙り込み。
皓: 「…………あの人の記憶は……」
皓: 「“刹那”に消える……覚えてない、と言うのですか、経験を、何もかも」
GM: 鎮座ましていた犬が立ち上がり、老人に寄り添う。
GM: 老人は皓の呟きには答えず、来た時と同じリズムで杖を鳴らして
GM: 犬と共にこの場からゆっくりと離れて行った。

皓: 「──…………なら」ふと、思い出す。先日の、あの塔での言葉を。仕草を。
皓: 「……何故──」
皓: 疑問の言葉は、口の端には乗らず。ただ、立ち去る老人の背を見送った。



TOP / NEXT


 DOUBLE+CROSS THE 2nd EDITION
「『betrayers』黒巣市A.D.2026−Act III+」