『betrayers』 黒巣市A.D.2026−Act III+
横幅650pix、Internet Explorer環境ではフォントサイズ「小」を推奨します 


 Master Scene-00 「指示」
 ScenePlayer:−−/場所:都心某所/時刻:早朝/登場:不可 

 「霧が竜に? 黒巣で? 立て続けに災難に見舞われるとは……因果な地ですね」
 「考えられるとすれば、例の石の副産物…“先代”の置き土産なのかもしれません――が」
 「残念ながら、“私”には判りかねます」
 「ええ、そうですね…何か成されるのでしたら、便乗されても宜しいでしょう」
 「尤も、私が言うまでもなく既に進められているとは思いますが」軽く苦笑して。
 「私からは特に何も。まだこちらで手一杯の現状でして」
 「…ええ、はい。通例通り、『災害』として各々が対処して頂ければ」
 「わざわざお知らせ頂き有難うございました。では」

 一拍置いて通話を切ると、彼はゆっくりと身を起こしてベッドを降りた。
 厚手のカーテンを開ければ、夜明け前の藍闇。
 外はまだ薄暗く、しとど降る冬の雨が音もなく窓を濡らしていた。

 「雨が降れば何処かで堰も切れる…そう。ただの災害」

 その災害、この事態を。
 “彼等”がどう対処し、どう利用するか――

 「自由にするといい」
 そう呟いて、ふと、失くした右腕に思いを馳せると同時に、 ※1
 閉ざした眼にいくつかの情景を映し、穏やかな笑みを浮かべた。

 「――いずれ、雨も上がるよ」



TOP / NEXT


 DOUBLE+CROSS THE 2nd EDITION
「『betrayers』黒巣市A.D.2026−Act III+」